漢文白文の読解のカギは、「読解力」と「知識」の2つ!

大学入試で使用する外国語は、実は英語のみではない。

いってみれば漢文も立派な外国語だ。

私たちは、漢文そのものを使用して生活している訳ではないので、これも立派な外国語だ。

白文となればなおさらだ。

返り点や読み仮名が振られていないのだから、ノーヒントで読解することになる。

これは簡単な話ではない。

今回は、漢文のなかでも白文の読み方について説明していく。

まっさらな原文をどう読み取るのか、以下を読んで理解してほしい。

白文について知っておこう

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そもそも白文とはどのような文なのか、どういう特徴があって、何が大変なのか。

そういった基本的な情報を理解しておこう。

後に白文読解の勉強を説明するための準備だ。

白文とは何か

そもそも白文とはなんだろうか。

上でも述べたが、白文は、返り点や読み仮名が全く振られていない漢文のことだ。

大学入試で出題される漢文のほとんどは、返り点や読み仮名が丁寧に振られている。

しかし、時折あえてそれらを省略して、「この文を書き下せ。」とか「この書き下し文は次のうちどれか。」といった出題がされるのだ。

特に後者は、センター試験漢文における定番の出題形式である。

具体的には、次のような問題である。

問4

傍線部B「哀其身不能一日事乎母也」の返り点の付け方書き下し文との組合せとして最も適当なものを、次の1~5のうちから一つ選べ。

センター試験2016年漢文(東進)

2016年センター漢文(東進)

 このように、白文の読解を出題されるケースは非常に多い。

センター試験でも登場するのだから、ほぼ全ての受験生に関係があるといっても過言ではない。

白文読解の何が大変か

白文読解で苦労するのはどういう点か。

それは、端的にいうと次の2点に絞られるのである。

  1. 各語の意味がわからない
  2. 主語や客語・前置詞など、文の構造がわからない

前者は読み仮名がないこと、後者は返り点がないことに由来する難点だ。

たとえば、「白」という字は漢文では「まうス」と読むことがある。

読み方から容易に推測できるように、「言う」という意味を持っている。

普段扱う漢文ではこうした単語に読み仮名が付いているため、受験生はそれを見て「言う」という意味だと分かる。

しかし白文ではその読み仮名がない。

その状態で「白」の読みを的確に理解するには、相応の勉強が必要である。

また、漢文は日本語とは語順が異なるので、それに惑わされることも多い。

たとえば、「吾盾之堅、莫能陥也。」は「矛盾」という語の由来である有名な漢文を見てみよう。

「莫能陥也」はそのままの語順で読むと不自然だ。

正しい語順は「能陥莫也」で、「能く陥すもの莫きなり。」という書き下しになる。

返り点が振ってあればこれも容易なのだが、白文の状態でこの語順を読み取るのは難しい。

漢字のみの文であるため、頭の中の知識を手掛かりに自力で読み進めなければならない。

漢字以外にヒントが無く、自分で進んでいくしかないのが白文読解の大変なところである。

意味も語順も、自分の知識のみが頼りだ。

ただ、誰がどう考えてもわからないような問題が大学入試で出題されることはない。

非常に細かい知識がなくても太刀打ちできるように設計されているはずだ。

では、その突破口とは何なのだろうか。

以下、上記2つの問題の解決策を見ていこう。

白文を読解する方法

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返り点も読み仮名もない排されている白文を読み解くにはどういう力が必要か。

まずは、白文の単語の意味をいかにして読み取っていくかを説明する。

一見ノーヒントで困難を極めるが、意味を推測する強力な手段があるのだ。

漢文は英語に似ている!

私たちが日常生活で漢文を用いることはまずない。

したがって、漢文というのは「受験勉強の科目」という程度の認識だろう。

しかし、よく分析してみると、漢文はある言語と構造が似ているのである。

それは英語だ。

例として、次の有名な一節を見てみよう。

子曰、学而時習之、不亦説乎、有朋自遠方来、不亦楽乎、人不知而不慍、不亦君子乎。

孔子「学而」より

時習之」の部分に着目してほしい。

これは、「機会があるときにこれを復習する」という意味である。

日本語では 機会があるときに→これを→復習する という語順だが、これを英語にしてみると例えば sometimes review that となり、これは漢文の語順に一致しているではないか!

このように、漢文ではまず主語があり、その次には動詞がくることが多い。

この順序は英語の構文と共通しているポイントだ。

それを知っているだけでも、何が主語で何が動詞なのか圧倒的に見分けやすくなる。

長くて一見ビビってしまうような白文であっても、この法則を元に考えれば理解できるに違いない。

文脈から推測する

わからない単語があった時に、文脈からその意味を推測できる場合がある。

例えば、次の文を見てみよう。

恵王曰、 「不可。直不百歩耳。是亦也。」

「矛盾」より

これは「五十歩百歩」という故事成語のもとの文である。

上の文における「走」という語の意味はなんだろうか。

私たちが普段この漢字を用いる時は「はしる」という意味になる。

しかし、それをこの場でも適用できるとは限らないのだ。

文脈をよく考えてみよう。

孟子の問いに対して恵王が、五十歩逃げた兵士と百歩逃げた兵士は大差ない、どちらも逃げている点で一緒だという返答をしている文だ。

ということは、上の「走」は逃げるという意味であることが推測できるのだ。

たとえ「走」という漢字に逃げるという意味があることを知らなくても、戦の最中であることを踏まえればその意味を推測 できるのである。

このように、文脈から語の意味を推測するというのが一つの読解方法だ。

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すでに持っている知識から推測する

日頃の勉強で培ってきた知識から推測するという手段もある。

たとえば、次の漢文を見てみよう。

為文必使一世人不好、得無与操瑟立斉門者比歟。

文雖工、不利于求。求不得、則怒且怨。

惟吾子、諒察。愈白。

韓退之「答陳商書」より

まず、一文目の「為文必使一世人不好」を読解することを考える。

長いフレーズなので、何が動詞で不はどこにかかっているのかなど、構造を把握するのが難しい。

しかし、「A使B=AヲシテBセシム」という句法を知っていたら、上の文を見た時に「あ、この『使』は使役の意味だ!」と気づくことができる。

こうした気づきが積み重なることで、文の構造は自然と理解できるのである。

意味だけではなく語順も正確に求められるのだ。

このように、句法を覚えておくというのは、白文を読解する上で欠かせない要素だ。

知っている構文があるのとないのとでは、文章の読みやすさが大きく異なる。

次に、最後の「白」の意味を考えてみよう。

先ほども登場したが、この白は「まうス」、つまり申し上げるという意味である。

この読み方は、一見非常に特異で、知らなければ答えられないように思える。

だが、本当にそうだろうか。

私たちが持っている漢語の知識を活かせば、この「白」の意味は十分予測可能なのである。

例えば「独白」や「告白」という語をみれば、これが「話す」に関係する意味であることが分かるのだ。

あるいは、漢文における「白」の意味を初めから知っていれば悩む必要は皆無だ。

逆に、そういう推測ができないとこの文を読解するのは極めて困難になってしまう。

したがって、漢字そのものや単語についての知識を備えておくというのも大切である。

以上のように、自分が持っている知識と照らし合わせることで、ノーヒントに見える白文も読解することができるのだ。

文脈を把握する力の他にも、漢文についての(あるいは漢字についての)知識が要求されることが分かる。

白文読解はどういう勉強をすればよいか

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ここまで、白文読解に必要な力について述べてきた。

文脈から意味を察すること、および漢文に関する確かな知識の両方が重要である。

それを踏まえた上で、漢文はどのように勉強するのが良いかを説明していく。

文脈を把握するには

文脈を把握すれば、そこから単語の意味を推測できるという話をした。

文脈把握の力を育て上げるには、大きく分けて2つの方法がある。

1つは、抽象的な意味での「読解力」を養うことだ。

これの最善の方法は、たくさんの漢文を読んで、出来事の様子を想像するということである。

読解力を強化する特別な方法というものはなく、地道に努力していくほかない。

場数を踏んでこそ習得できる能力だ。

しかし、だれもがそういう勉強をする余裕があるとは限らない。

2つ目は、「漢文特有の話の展開を読む」ということだ。

代表的な例をあげよう。

漢文の世界では、君子が悪徳な人物だと必ず「災い」が起こるという話の流れがある。

君主が新しい人物になったが、その人が暴政の限りを尽くしている。

そういう場合、水害で国家が壊滅的な被害を受けたり、民衆の氾濫が勃発したりして痛い目に遭うという結果が待ち受けているのだ。

こんなふうに、漢文には定番の話のパターンがある。

そのうち大抵は、人間は徳を備えるべきであるという教訓的な内容だ。

たくさん漢文を読んでいく中でそれを理解できれば、未知の文に接した時でも「あ〜、こういう展開なのね!」と素早く把握することができるのである。

返り点がついていなくても、語順をすんなり把握し、自分で返り点を振ることも可能だ。

知識を養うには

文脈の把握のみならず、知識の充実も白文読解には重要なのであった。

次に、漢文で用いる句法や単語を勉強する方法を考えよう。

句法の覚え方

句法を覚える方法は様々考えられるが、ここでは例文と絡めて頭に入れることを推奨する。

大抵の句法の参考書では、句法は「A令B」や「為A所B」のように記号を用いて表される。

参考書を編集する上でそれは仕方のないことなのだが、AやBと言われても使い方を理解できない場合がほとんどだ。

したがって、そのままの形で呪文のように覚えてしまうと、意味を理解しないまま試験本番を迎えることとなってしまう。

意味を分かっていないと、発見することができても正しく訳せないなどの問題が必ず生じる。

句法を暗記し、かつ意味も把握する最善の方法は例文を用いることである。

参考書には、例文が付されている場合が多い。

それを見ずに見出しの句法だけ目で追う受験生が少なくないが、それでは学習効果が半減してしまう。

例文を読めば、どういう文脈で使われるのかが分かるので、意味の理解が深まる。

また、実際の物語を読んで句法を理解するため印象に残りやすい、つまり忘れにくくなるというご利益もあるのだ。

こう考えてみると、例文を活用しない手はない。

具体的な勉強法としては、句法の参考書で見たことがない、あるいは意味を知らない句法があったらそれをノートに写してみるのだ。

また、その書き下し文も書いて、音読すると良い。

勉強内容は同じでも、実際に手を動かして書いてみた方が頭が働き、印象に残りやすい。

また、音読の効果を軽んじている受験生は多いが、特に国語や英語の学習において音読は大きな威力を発揮する。

手や口を積極的に動かすことで、勉強の効率や定着の速さは大きく向上するのだ。

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単語の勉強法

最後に単語の勉強法を説明する。

実は、漢文で必要とされる単語はせいぜい100~150だ。

英語と比べたら圧倒的に少ないし、古文と比較してもマシな方である。

逆に言えば、少し我慢して勉強するだけで漢文単語は簡単に頭に入るのである。

漢文単語のみを取り上げた参考書というのは世の中にほとんど存在しない。

なぜなら、句法の参考書で付録として単語集を収録しているものが多いからである。

漢文単語を学習する際は、そのような形式の参考書で構わない。

単語リストを見て、自分が知らない単語があったらルーズリーフや暗記カードにまとめて、空いている時間にそれを読めばよい。

少しずつ知らない単語を減らしていけば、着々と語彙力は豊かになる。

その他

その他、漢文の学習ではなく漢字そのものについての勉強も意味がある。

漢字検定などを通じて様々な漢字に親しみ、漢字が持っている意味を身につけていく。

この努力により、語の意味を推測できる力が付いてくるのだ。

漢字が好きな人は、そうした教養的な内容を学習してみるのも良いだろう。

これについては必須ではなく、興味がある人向けである。

句法と単語、どちらの勉強を優先するかは個々人の判断次第だ。

ただ、単語は無理して暗記する必要がないので、そういう意味では句法の勉強を優先すべきである。

白文を眺めた時に、基本的な句法をすぐに発見できるかどうか。

単語の意味を知っているか、あるいは推測できるか

それが、大学受験の白文読解におけるキーといえよう。

まとめ

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以上が、大学受験での漢文、特に白文を読解するための勉強法である。

読解力」と「知識」。

これら2つが揃って、初めて白文読解が可能になるのだ。

読解力は、たくさんの漢文を読むことで着実に身につけていこう。

句法や単語の知識は、暗記カードなどで地道に勉強するのみ。

漢文を見た時に、大まかな意味や構文をすぐに把握できるような反射神経を鍛えあげていく方針が良い。

ぜひ読解力と知識の両輪で、白文を正確に読解できるようになってほしい。

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