大学入試への橋渡しにこの1冊「新数学スタンダード演習」

ほとんどの学校では、数学の問題集が1冊配られるはずだ。

4STEPやサクシードなどを配られることが多いだろう。

それらの問題集は、教科書の例題レベルの問題から少し難しい問題まで並んでおり、いい意味でシンプルな問題集である。

教科書レベルの理解を定着させるならばそれでいいのだが、そこからいきなり大学入試問題にジャンプするのは大変なことだ。

問題の内容もそうした問題集より複雑だ。

たとえば確率と数列の合わせ技(いわゆる確率漸化式)が象徴的で、一つの分野だけわかっていれば大丈夫、という問題は少ない。

また、難易度自体も高くなっており、入試問題は普通の参考書とそれらの点でかけ離れている。

教科書の傍用問題集が終わった後に、もう1ステップ上へ行くための問題集があると、受験生は安心してそれに取り組むことができるだろう。

今日は、基礎演習と大学入試問題の橋渡しに最適な一冊「新数学スタンダード演習」こと「スタ演」を紹介する。

スタ演に取り組むことで、教科書レベルの実力を大学入試に取り組めるレベルまで引き上げることができる。

この後の内容を読んで「これだ!」と思ったら、ぜひスタ演を手にとってみてほしい。

スタ演の概要

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まずは、「新数学スタンダード演習」こと「スタ演」の大まかな特徴を見ていこう。

この章を読むことによって、「スタ演」がだいたいどんな参考書なのかはっきりわかるようになる。

予備知識

スタ演は、大学への数学の別冊シリーズの1つである。

大学への数学は数研出版から発売されている月刊の数学参考書だが、それとは別に「別冊」という形で、スタ演のような問題集が出されている。

別冊シリーズでは、他に「一対一対応の演習」なども有名だ。

スタ演は二冊に分かれており、「4月号」と「5月号」があり、毎年4月と5月に発売されている。

毎年発売されているが、内容・問題ともにほとんど同じであるため、最新年度のもののみ購入すればよい。

これらはもちろん、発売年の4月に出た別冊と5月の別冊という意味だが、内容は次のように分かれている。

  • 4月号:数学1A、2Bまで。文系・理系に共通する内容
  • 5月号:主に数学3。理系のみの内容

したがって、文系の受験生は前者のみ買えば良いし、理系であれば両方買えば良い。

価格は1,650円。内容の多さを考えると妥当と言えるだろう。

スタ演の構成

スタ演は、通常の参考書とは少々異なる構成をしている。

普通は、学校教科書に準拠した章立てにするが、スタ演学習のしやすさを考慮して独自の構成をとっている。

実際、数研出版のウェブサイトでは次のように説明されている。

なお、本書の章立てにおいては、教科書的な配列ではなく、より効率的に学習できるように配慮。例えば、数と式、方程式、不等式は、教科書では数Iと数IIに分断されますが、本書では、これらと2次関数などをまとめて“§1高校数学の数式的基盤”としました。

http://www.tokyo-s.jp/products/d_zoukan/standard_en/

ここでも紹介されている通り、「高校数学の数式的基盤」は目を引く章だ。

教科書では数学Iや数学IIに散りばめられている内容なのだが、確かに一つにまとめてしまった方が体系的な学習ができる。

このように、教科書の内容を、体系的に学習しやすいように再構築しているのだ。

もちろん、カバーしている内容は学校教科書と変わらない。

各章の初めには、これだけは押さえておきたいという必須事項がまとめられている。

解説ページの次に、関連する演習問題が20問ほど用意されている。

そしてそのあとに解説が載っている、という感じだ。

問題のチョイスは、全て実際の大学入試問題である。

ただ、難易度の高い問題はほとんどなく、解きやすい範囲で頻出問題・重要問題をピックアップしているので安心してほしい。

スタ演のねらい

スタ演はどういう力を養うための参考書なのか。

まずはそれを知っておく必要がある。

端的にいうと、教科書レベルの実力を、大学入試に対応できる力まで引き上げるための参考書だ。

教科書の問題は全て解けるようになったのに、大学入試の問題はなかなか解けない。このような経験は誰にでもあるだろう。

これはよく考えてみれば不思議なものだ。

学習すべき内容は全て学んだのに、大学入試問題を解けるようにならないことに苛立ちを覚える受験生もいるかもしれない。

しかし、これは実は当然のこと。

学習内容を理解しているだけでは解けない問題というのがあるのだ。

なぜなら、大学入試問題では基礎力の他に「応用力」が必要だからである。

応用力というのは、自分が学んだことをどこでどのように用いればいいのかを判断する能力のことだ。

たとえば、「次の漸化式を解け。」という問題だったら、漸化式の問題だと誰でもわかる。

したがってこれは応用力とは言えない。

一方、確率の問題で、「○○となる確率を求めよ。」と問われ、「あ、これは確率に関する漸化式だな!」と発見できたとしたらそれは応用力である。

つまり、今までに学んできたことを生かして解答の道筋を立てる力が応用力なのだ。

スタ演は、この「応用力」をつけるのを助けてくれる。

教科書よりは難しいが、極端に難しくない。

大学入試問題の中から、程よい難易度の典型的な問題を集めている。

これを一通りやりきれば、大学入試に対応する力が必ず身につくはずだ。

スタ演のメリット

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スタ演にはどのような良いところがあるかメリットを、紹介していく。

これを読んで、スタ演のメリットをしっかり理解したうえで、今の自分に合っている参考書か否か、考えてみてほしい

独自の構成

上でも紹介したが、スタ演の内容構成は、普通の学校教科書やそれに準拠した参考書とは異なり独特のものとなっている。

大まかな順序はもちろん似ているのだが、スタ演では、受験生が少しでも体系的に学習できるよう、独自の考え方を元に章立てされている。

特に「高校数学の数式的基盤」という章が印象的だ。

学校教科書には、このような名前の章は存在しない。

教科書でいうところの「数と式」、「方程式」、「不等式」…など、数式の扱い方に関する内容を一つの章にまとめているのだ。

受験生はこれをみると少々驚くかもしれない。

しかし、一番最初にこの章があることで、数式の扱い方について地盤を固めてからのちの問題演習に進むことができる。

数式というのはどんな分野であれ登場するものであるから、それを最初に勉強しておくというのは大変理に適ったやり方だ。

一見特異に見えるこの構成は、実は受験生のことを最大限配慮した合理的な構成なのだ。

必須事項のまとめ

スタ演の各章の最初には、必須事項として、最低限知っておきたい内容として、定理や公式のまとめが載っている。

さらに、入試問題に取り組むにあたり知っておくと便利な知識や解法も載せてくれている。

このようなまとめは受験生にとって結構ありがたいはずだ。

もちろん、定理や公式を覚えさえすれば良い、などということはない。

ただ、「これだけは覚えておきたい」という重要事項をコンパクトにまとめてくれているので、受験生は「このページの内容さえ勉強しておけばとりあえず大丈夫なんだ!」と理解でき、安心して勉強できる。

まったくノーヒントだと、何を勉強したら良いかわからないし、何が重要なのかも判別できない。

スタ演ではそのような受験生の悩みを解決すべく、まとめページが用意されているのだ。

勉強すべき内容が明確になる分、これは受験生にとってのメリットと言えよう。

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解答時間の目安がついている

スタ演は大学への数学シリーズの一冊である。

本シリーズの大きな特徴として、問題の最後に解答時間の目安が載っていることである。

問題演習をするときに、時間を気にせずじっくり考えてみるのは大切なことだ。

そういう努力をしてこそ、真の実力が身につく場合もある。

しかし、決められた時間内で解き切るというのもそれと同じくらい大切なことだ。

自宅で問題演習をしていると、「自分はこの問題に30分かかったけど、これって早い方なのかなあ。それとも遅いのかなあ。」という風に疑問に思うことがあるはずだ。

世の中の大抵の参考書には、解答の目安時間が載っていない。

しかし、スタ演では目安時間を5分単位で示してくれている。

実際の入試の試験時間を元に、この速さで完答できれば理想だね、という時間を算出しているのだ。

そのため、受験生は時間のことも気にしつつ問題演習をできるのだ。

目安時間が分かっているため、自分の今の実力や解く速さを把握することができる。

模試や入試本番に向けて、緊張感のある演習が可能となるのだ。

解説の前に「方針」の説明がある

スタ演の解説ページを読んでみると、解説そのものに入る前に少し前置きがあることに気づく。

この前置きでは、「こういう問題は、このような考え方で解くと良いでしょう。」という方針を示してくれているのだ。

これも受験生にとっては見た目以上にありがたいことである。

問題集の中には、方針を書かずにいきなり解説が始まるものも存在する。

たとえ方針がなくとも、解説を読めばその問題については納得することができよう。

しかし、これを他の問題に応用するとなると話は別だ。

方針の説明がないと、他の問題に考え方を応用するのが困難になってしまう。

スタ演では、解説の前にそれなりの分量を割いて方針が説明されている。

これを読むことで、「こういう問題は○○を用いて解くのが良い」ということが理解できる。

具体例をあげよう。場合の数で、領域に色をぬり分ける問題がある。

誰もが一度は解いたことがあるはずだ。

その典型的な解法は、「1箇所の色を固定して考える」というものだ。

こうすることで、重複して数え上げてしまうことを防止でき、問題が簡単になる。

解説に入る前に、「塗り分けの問題では1箇所の色を固定して考えるのが定石だ。」と書いてあれば、受験生は似たような問題にそのアイデアを応用できる。

しかし、逆にそれが書いてなかったら、この問題だけで通用するアイデアだと思ってしまう可能性もある。

このように入試問題で頻出のパターンやそれの解法を理解することで、問題集の中の問題に限らず模試や入試本番など、様々な場所でそれを応用できるようになるのだ。

スタ演のデメリット

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典型問題とその解法を理解することに重点を置いているという点でスタ演は大変優秀である。

しかしスタ演にはデメリットもいくつか存在するので注意が必要だ。

しっかりと、デメリットを理解したうえで、スタ演を使いこなそう

平易な問題がほとんど無い

大学への数学シリーズに共通して言えることだが、本シリーズの参考書に載っている問題はどれも難易度が比較的高い。

少なくとも、学校で用いているであろうサクシードや4STEPなどの傍用問題集、それにチャート式などよりも難しい問題が揃っている。

そのため、背伸びをしたいからといって早い段階でスタ演に着手すると痛い目に遭う。

題材は基本的にどれも大学入試問題。極端に難しい問題はないものの、実際に大学入試で出題された問題であるため、一筋縄ではいかないものばかりだ。

少なくとも、教科書の章末問題レベルは余裕をもって解ける程度の実力がないと、スタ演に取り組むのは危険な選択肢と言えよう。

ある程度実力がついている人が取り組んでも苦労する問題ばかりだ。

そういう意味では、数学の実力に自信があり、大学入試でも得点源にすることを目指している受験生向きだ。

人を選んでしまう部分があるのは否定できない。

少々退屈な見た目

案外無視できないデメリットとして、見た目の平坦さがある。

大学への数学シリーズはどれもほとんど黒刷り(1色)であり、紙幅の都合もあってか問題や解説はほぼスペースなくぎっしり詰まっている。

数学が好きな人にとってはさほど苦ではないかもしれないが、数学の勉強に抵抗を感じている人からすると非常に退屈な見た目となっている。

真面目な受験生は、「見た目なんてどうでもよいのではないか?大切なのは中身だ。」と思うかもしれない。

その考え方自体は素晴らしいものである。

だが、見た目の退屈さは、見えないところで学習意欲を削いでいくものだ。

心配になったら、書店で実際にスタ演を探して、開いてみると良い。

読んでみて、耐えられそうだったら買えばいいのだが、苦痛を感じる体裁であれば要検討といったところだ。

単調で退屈な見た目というのは、スタ演のデメリットである。

解説がやや短い

繰り返しになるが、スタ演は教科書レベルの基本はバッチリ理解している受験生を対象としている。

そのため、解説部分は「どのような考え方で解けば良いか」という面に重点を置いているのだ。

逆に言えば、細かい式変形については丁寧にサポートしてくれているわけではない。

「これくらいのことは分かるよね?」という風に省略されているのだ。

そのため、スタ演の解説は良くも悪くも簡潔にまとまっている。

実際にあなたが問題を解くときは、こんなにすっきりした答案にまとまらないはずだ。

なぜなら、実際には一つ一つ丁寧に計算しなければならないし、試験時間には限りがあるので答案をいちいち丁寧に編集している余裕はないからである。

そういう意味で、スタ演の解説は実際の試験答案的には参考になりにくい。

そのまま答案に応用しにくいため、受験生にとっては扱いに苦労することになる。

スタ演の解説は、あくまで「答案をできる限りスマートにまとめたもの」だと思っておこう。

スタ演の使い方

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ここまで、スタ演の長所・短所を紹介してきた。

以上をよく頭に入れた上で、本書の使い方を少し紹介しようと思う。

スタ演はシンプルな構成になっているため、多彩な使い方が存在するわけではない。

したがって、ここでは主な使い方とその注意点を述べていく。

解き進め方

大学入試問題を題材にしているため、スタ演の問題は一問一問に結構な時間がかかる。

平均して1問あたり20~30分といったところだ。

したがって、1日に何問も解くというのは、特に平日だと大変なはずだ。

基本的なスタイルとして、1日に1,2問とき、その日のうちに丸つけや復習をしてしまうという方法をお勧めする。

こうすれば、1日30分~1時間という手頃な時間で勉強できるからだ。

扱う問題数が少ない方が疲れないし、集中しやすいに違いない。

問題を解くときは、実際の大学入試を意識して、時間を計って取り組んだ方が良い。

先述の通り目安時間が記載されているので、その時間内に解くよう努めてみよう。

解く速さに自信がないうちは、そこまで時間を気にしなくても良い。

ただ、最終的に時間を計らなければならないことは気に留めておこう。

また、専用のノートを用意し、解答は途中式も含めて可能な限り詳しく書くことに努めるべきだ。

日頃から雑に書く癖がついてしまうと、試験本番で気の利いた答案を書くことができなくなってしまう。

普段の演習の時から答案の練習をすることが大切だ。

解説の扱い方

問題を解き終わったら解説を読む。

上で述べたように、スタ演の解説はどれもやや短めで簡潔にまとまっている。

もちろん、ある程度の実力があればこれを読むだけで大体のことは理解できるはずだ。

しかし一方で、実際にあなたが書く答案はもう少し丁寧であるべきだ。

そのため、解けない問題があったときは、解説をそのまま写すのではなく、解説を元に自分で答案を書いてみることをお勧めする。

スタ演に載っている言葉をそのまま用いるのではなく、自分の言葉で再構築することにより、自分で答案を作成する能力が向上するからだ。

答案の書き方を学ぶには、実際に自分で答案を作成しまくることに尽きる。

何事も実践あるのみだ。

まとめ

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スタ演の内容や長所・短所、それに使い方について紹介した。

本書に限らず、大学への数学シリーズはどれもハイレベルで優秀な教材である。

スタ演はハイレベルな分、下手に扱うと何の価値も生まれない。

しかし、ある程度実力がついた上で正しい使い方をすれば、あなたの数学力は確実に伸びるはずだ。

ぜひスタ演をきっかけに、数学の実力を引き上げ、大学入試問題を突破してほしい。

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